暑くて走るペースが上がらない夏場にこそ鍛えておきたい遅筋(ちきん)とは?
今年のような極端の暑さでは、長時間にわたってペースを上げるのはほぼ不可能。
そこで夏場の走り込みにおいては、ペースはかなり落として、長い距離を走るのがおすすめです。
夏場とはいえ、ペースを落として走るのは・・・という方もいらっしゃるかもしれませんが、ペースを落として走るからこそ効果的に鍛えられるのが「遅筋(ちきん)」です。
遅筋と速筋について
人間の筋肉は大きく「遅筋」と「速筋(そっきん)」という2つの筋繊維に分けられますが、マラソンにおいて重要な役割を果たすのが遅筋です。
遅筋は色が赤いため「赤筋(せっきん)」とも言われていて、筋肉の収縮が遅くバネこそは弱いものの、その分持久力がある筋繊維です。
遅筋は脂質を主なエネルギー源とし、酸素を多く取り込むことができるため、マラソンのような有酸素運動においては大きな力を発揮します。
一方速筋は色が白いため「白筋(はっきん)」とも言われ、バネこそ強いものの、持久力がなく、マラソンのように長時間にわたって身体を動かし続ける競技には不向きと言えます。
遅筋割合が多い人はマラソンに有利?
遅筋と速筋の比率は人によって大きな違いがあり、一般的にマラソンには遅筋の割合が高い人が有利、短距離は速筋の割合が高い人が有利と言われています。
ちなみに遅筋と速筋の比率は人それぞれに生まれついて決まっていて、マラソンに適した身体を作りたいから速筋を遅筋に変えよう・・・という事は不可能です。
ただ速筋には「タイプⅡa」と「タイプⅡb」と2つのタイプがあり、そのうちの「タイプⅡa」は遅筋の赤い色と、速筋の白い色がまじったピンク色の筋繊維で、トレーニングによって遅筋のような性質を帯させる事が可能と言われています。
つまり速筋比率が高い方でも、タイプⅡaに遅筋的な性質をつける事ができれば、遅筋比率の低い方でも、マラソンのような長時間身体を動かし続けるスポーツに、十分耐えられる身体をつくる事ができます。
遅筋の鍛え方
遅筋がよく動員されるのは「小さい(ゆっくりとした)動き」で「長時間にわたって筋肉を動かし続けた」ときです。
マラソン練習でいえば、余裕あるペースで長時間にわたり走り続ける「ロング走(時間走)」がまさにそんな運動にあたります。
また速筋「タイプⅡa」に遅筋的な性質を帯させる時も、同様にロング走が効果的な練習となり得ます。
今の夏場はいずれにせよ速いペースで走るにはきつすぎ、余裕あるペースで走らざるを得ないという事で、遅筋を強化するには絶好のシーズン。
・・・という事で今の時期の走り込みは、変にペースを意識せず「遅筋の強化」を最優先に考え、無理せず焦らず実施するよう心がけてください!
合同会社ランシスの運営を通じて「ランウォーク」×「ツーリズム」の掛け合わせ「ランウォークツーリズム」による、三重を走り歩く新たなモチベーション創りを模索しています。
またランニングコミュニティ「セカンドウィンド四日市」の運営や、三重県ウオーキング協会事務局長として広報等を担っています。