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マラソンのスタート時や速く走る時に重要な役割を担う「無酸素性エネルギー供給システム』とは?

こんにちは。セカンドウィンド四日市代表の多田夏彦(@runsismie)です。

先日の記事でランニングのためのエネルギー源がどのように作り出されるかについて書かせていただきました時に、エネルギーの供給方法として大きく有酸素性と無酸素性がある事を書きました。

マラソンは有酸素運動・・・という事で有酸素性のエネルギー供給が重要な事はなんとなく分かる方も多いと思いますが、無酸素性のエネルギー供給もマラソンにおいて実は重要な役割を持っています。

そこで今回の記事では無酸素性エネルギーのマラソンにおける役割について、紹介していきたいと思います。

ATP-PCr系は走り始めのわずかな時間のエネルギー供給システム

無酸素性エネルギー供給システムの一つである「ATP-PCr系」は、酸素を使わず、極めて短い時間で大きなエネルギー源を生み出せる事が大きな特徴。

そのため短距離や跳躍など瞬発的な動きを必要とする競技では、このATP-PCr系がメインエネルギー供給システムとなります。

ただこのATP-PCr系を一気に使うと、エネルギー供給は7〜8秒しか持たず、長時間走り続けるためのエネルギーは生み出せません。

そんなATP-PCr系がマラソンで主に使われるのは、走り始めのわずかな時間となります。

解糖系は速く長く走るために重要なエネルギー供給システム

解糖系システムはマラソンでメインエネルギー源となるグリコーゲンを、酸素を使わず分解してエネルギーを供給するシステム。

解糖系システムではATP-PCr系ほどではないものの比較的速く、大きなエネルギー源を生み出す事ができるうえ、ATP-PCrより長い時間エネルギーを供給できます。

そのためマラソンにおいても5000mなどの短い距離のレースや、インターバルやレペティションなど速いペースで走る練習の際には、メインのエネルギー供給システムとなります。

解糖系システムの最大の難点は乳酸を生み出す事

そんな解糖系システムですが、一気に使うと33秒近くしか持たないらしく、またマラソンでも失速の大きな原因となる「乳酸」を発生させてしまいます。

乳酸は走るためのエネルギーとしても使われるのですが、筋肉に蓄積されてくると、筋肉繊維内の水素イオン濃度が上昇する事により、筋肉の収縮を助けるカルシウムの働きを妨げ、失速の大きな要因を作ってしまいます。

ただこの発生した乳酸も、エネルギーとして素早く分解されるようになれば、失速する事なく走り続ける事ができるのですが、乳酸を素早くエネルギーに変えるための練習方法については別の記事で紹介していきたいと思います。

マラソンのメインは有酸素性供給システムですが・・・

長く走り続けるマラソンでは、長時間にわたってエネルギーを供給し続ける事ができる有酸素性エネルギー供給システムがメインとなります。

・・・がスタート時や速いペースで走る時には、短時間でかなり大きなパワーを生み出せる無酸素性エネルギー供給システムがメインとなります。

そのため普段のマラソン練習においても有酸素性トレーニングだけでなく、無酸素性エネルギー供給システムを利用する無酸素性トレーニングはぜひともやっておくべき。

そんな無酸素性トレーニングの内容については、別の記事で紹介させていただくとして、今回の記事では下記のことだけでも覚えてみて下さい!

今回の記事のポイント

・無酸素性エネルギー供給にはATP-PCr系と解糖系の2つのシステムがある

・マラソンにおいて重要なのは速く長く走る時に使われる解糖系

・解糖系システムは失速の大きな要因となる乳酸を生み出す

・マラソン練習においても有酸素性だけでなく無酸素性運動もやるべき

 

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今回の記事でかなり参考にさせていただいた書籍

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