マラソンで最適ペースを把握するうえで最重要数値となる「ATペース」とは
マラソンレースではいかにランナーそれぞれに合った適性ペースを維持して、長い距離走り続けるようになるかが、レース結果を大きく分けることになります。
ただ一言で「適性ペース」と言っても、自分にあったペースを把握するのは本当に難しく、基準とするものが欲しいというランナーは結構多いのでは?
そんな適性ペースを把握するために、重要な指標となるのが「ATペース」。
ただしその言葉だけ聞いても、頭の中が「?」になる方はかなり多いと思いますので、今回の記事では適性ペースを把握するために重要な指標となる「ATペース」とはどのようなものかについて見ていきたいと思います。
「AT」とは何のことか?
ATはAnanerobic Thresholdの略で「無酸素性作業閾値」の事を意味します。
余計に分かりにくくなったと思いますが、この値は有酸素運動と無酸素運動の境界線の事で、この境界線あたりの運動負荷で走るペースを「ATペース」と言います。
有酸素運動とは酸素を身体に取り込んでエネルギー源を燃焼させる比較的負荷の低い運動、逆に無酸素運動は酸素をほとんど取り込めない状態でエネルギーを作り出さなければならない負荷のきつい運動。
この2つの境界線を越えると無酸素運動に切り替わっていって、呼吸が「ゼイゼイハアハア」状態になりどんどん苦しくなってきてしまうため、マラソンのように長時間走り続けるスポーツでは、この境界線となるATペースを上回らないペースで走る事が大切になってきます。
「ATペース」を把握する方法
ATペースの目安は「血中乳酸濃度(単位:mmol)という値が、2mmolのペースで走る事」と言われていますが、このmmolを計測するには大学などの専門的な機関に行って検査をしないといけないため、一般的な市民ランナーの皆様にはかなり無理があります。
そこで目安としたいのが自分自身の心拍数。
2mmolの目安は心拍数130〜160回/分程度と言われていて、この数値を上回る心拍数で走っていると呼吸はゼイゼイハアハア状態になり、長時間走り続けるのが難しくなります。
ただし心拍数は人によって個人差があるため、あくまで目安程度に捉えていただき、実際には「結構きついけどもう少しくらいなら頑張れそう」と思えるくらいの感覚を頼りにする方がいいかも知れません。
ATペースを向上させるには
できるだけ速いペースを維持して、長い時間走り続けるマラソンではこのATペースの向上が必要不可欠。
このATペースはATペース上限ギリギリに近いペースを維持して走り続ける事ができた時、最も効果的に向上させる事ができると言われています。
上限ギリギリに近いペースを維持して長時間走り続けるのに適した練習が、一定のペースを維持して走る練習である「ペース走」。
ATペースを把握して、そのペースを維持して走るペース走を継続していく事ができれば、ATペースはどんどん向上していって、楽に走れるペースがどんどん速くなってくるのを感じるはずです。
ATペースを維持して走るのは結構きついので・・・
上記のようにATペースを把握して走り続ける事ができれば、着実に走力は向上していきます。
ただしこのATペースを維持して走るのは結構きつく、走り始めの段階で心折れそうになる方も多いはず・・・
そんなATペースを維持して走り続けるために一番有効なのは、走力の近いランニング仲間とお互いを引っ張り合いながら一緒に走る事。
仲間と一緒に走っていると「自分だけ離脱できない」と気持ちに張りができ、長時間にわたっていい緊張感を保ちながら走り続ける事ができる点で、集団でのペース走はおすすめの「ATペース向上メニュー」といえそうです!!
合同会社ランシスの運営を通じて「ランウォーク」×「ツーリズム」の掛け合わせ「ランウォークツーリズム」による、三重を走り歩く新たなモチベーション創りを模索しています。
またランニングコミュニティ「セカンドウィンド四日市」の運営や、三重県ウオーキング協会事務局長として広報等を担っています。