フルマラソンのレース結果を大きく分ける「LT」とは?
こんにちは。セカンドウィンド四日市代表の多田夏彦(@runsismie)です。
マラソンを目標タイムで走りきるためには、いろいろな能力を総合的に鍛えていく必要がありますが、中でも私自身、最も強化する必要があると思っているのが「LT値」。
・・・ですが「LT」と言われても、いまいちピンとこない方は多いのでは?
そこで今回の記事ではLTについて詳しく見ていきたいと思います。
LTとは
LTとはlactate(乳酸) threshold(いき値)の略の事です。
ランナーは誰もが走っている最中には乳酸が筋肉の中で生成されていきますが、エネルギー源ともなる乳酸は筋肉にため込まれず、エネルギーとして消費されていきます。
・・・がある強度(速いペース)を境に、急激に乳酸の生成が増えていって、消費が追いつかなくなり、乳酸がみるみるうちに筋肉に蓄積されていってしまいます。
この急激に乳酸生成が上昇する一歩手前くらいのペースが、LTペースと言われるもので、一般市民ランナーの方だと10キロレースのレースペースくらいがその目安と言われています。
乳酸が蓄積されるとまずい理由
筋肉での乳酸濃度が高くなりすぎると、乳酸が生成される過程で生じた水素イオンが、エネルギーをつくりだすために必要な酵素の働きを抑えてしまいます。
また筋肉の収縮に大きな影響を及ぼすカルシウムが、この水素イオンに邪魔されて、筋肉に取り込まれなくなり、筋肉の収縮によるバネも弱ってきてしまいます。
つまり乳酸が溜まると、エネルギーの生成が邪魔されるうえ、筋肉のバネを衰えさせてしまう。
結果として、ランナーは誰もがペースを落として走らざるを得なくなってしまいます。
LTを高める練習法は?
走りを大きく妨げるほどの乳酸濃度まで上昇させずに走れる、ギリギリの速さのペース。
・・・それがLTペースという事になるわけですが、LT値はトレーニングで高めることができます。
そのためのトレーニング方法は、ずばりLTペース、もしくはLTペースより1〜2秒速いペースで走る練習です。
具体的にはLTペースを維持して20〜40分前後の時間を走り続けるテンポ走、もしくはLTペースでのランニングとつなぎのジョグを交互に何本か繰り返すクルーズインターバルが、LTを高める最も効果的な練習と言われています。
これらの練習では乳酸が筋肉内に蓄積されはじめるくらいの強度で走り続ける事で、乳酸を蓄積させずに走れるペース・LTペースの底上げをする事ができます。
フルマラソンに最も効果的なLT値向上メニューはテンポ走
上記のようにLT値を高めるためにはペース走、クルーズインターバルのいずれかが重要なトレーニングとなってくるわけですが、フルマラソンに挑戦するなら最もオススメのトレーニングはテンポ走。
フルマラソンではLTペースより少し遅いペースで長時間走り続けることになるため、練習でもレースペースより少し速いペースで一定の時間走り続ける事は、より実戦的な練習につながります。
また決して楽でないLTペースを維持して、20〜40分走り続けた事は、マラソンを走りきるために最も重要とも言える「自分への自信」を醸成する意味でも非常に有効です。
・・・とは言っても一人で実施するのは本当にきついテンポ走。
そんあテンポ走を実施するなら、走力の近いランナーの方と一緒にお互いを刺激し合いながらの練習がオススメです!!
今回の記事のポイント
・LTペースとは乳酸濃度が急上昇する一歩手前くらいの強度のペース
・乳酸濃度が増えるとエネルギーが生成されにくくなるなど不都合が生じる
・LT向上にはテンポ走(LTペースを維持して20〜40分走)が一番のオススメ
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今回の記事で参考にさせていただいた書籍
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合同会社ランシスの運営を通じて「ランウォーク」×「ツーリズム」の掛け合わせ「ランウォークツーリズム」による、三重を走り歩く新たなモチベーション創りを模索しています。
またランニングコミュニティ「セカンドウィンド四日市」の運営や、三重県ウオーキング協会事務局長として広報等を担っています。