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伝説のランニングコーチ・故リディアード氏に学ぶ生理学に裏づけられたトレーニング理論

マラソントレーニングには全ての人に共通する万能トレーニングというものは存在せず、指導者の方針によって多種多様なトレーニング理論が存在していますが、そんな指導者の多くが一度は目を通していると言われているのがリディアードのランニング・バイブル

この書籍が出版されたのは1993年と20年以上も前のことで、その理論は古くなっているという説もあるのも事実ですが、今もなおその書籍に書かれている理論の多くが、多くの指導者の指針となっているもの事実です。

そこで今回の記事ではリディアードのランニング・バイブルに書かれているトレーニング理論についてざっくりと紹介していきたいと思います。

 

生理学に注目したランニング理論

リディアードのランニング・バイブルが画期的であったのは、当時まだほとんど注目されていなかった生理学に裏づけられたランニング理論が展開されたことにありました。

リディアード氏のトレーニング理論の一番の特徴は有酸素ランニングと無酸素ランニングをバランスよく組み合わせることにあります。

 

まずは有酸素ランニングで有酸素能力を高める

この書籍ではトレーニングのまず第一段階は、身体に取り入れられる酸素を使って走る有酸素ランニング「マラソンコンディショニング・トレーニング」によって、有酸素能力を高めることを推奨しています。

その有酸素能力の目安として書籍で紹介されているのが最大酸素摂取量で、この上限で走っていることを「最高安定状態」、そのペースを有酸素運動から無酸素運動に切り替わる「ATペース」のランニングとしています。

この書籍で有酸素能力を高めるために推奨しているトレーニングはLSDやジョグなどの余裕あるペースで走るものでなく、上記「最高安定状態」の70〜100%とそれなりにきついペースで走る練習。

また距離も小分けするのでなく、一度に長い距離を走り続けることこそが効果を高めるとされています。

 

有酸素能力を鍛えると・・・

このATペースをひとつの目安とした有酸素ランニングを続けていくと、心臓の機能が向上し1回の収縮で多くの血液を送り出せるようになり、トレーニングを続けていくと安静時の8〜10倍の血液を送り出せるようになります。

さらに身体に一定の負荷をかけ続けていくと、毛細血管など全身の血管が拡張することで、より身体全身に血液を送り込みやすくなり、酸素が効率よく筋肉に運び込まれるうえに、老廃物などが体外に出て行きやすくなり、ランニングパフォーマンスの向上につながります。

 

無酸素能力は有酸素能力をじゅうぶんつけてから

リディアードのランニング・バイブルでは上記有酸素ランニングを行って十分に有酸素能力を身につけた後に、身体を追い込みながら、新陳代謝をよくし、高い負荷に耐えられる身体をつくるための無酸素ランニングを推奨しています。

人間の血液は基本弱アルカリ性を示していますが、無酸素ランニングをはじめると血液は酸性に傾いてしまい、その状態が続くと疲労がなかなか回復しないようになるなどの体調不良につながり、またイライラが多くなったりとランニングのモチベーションを大きく低下する要因にもなります。

そんな状況にならないためにもまずはしっかりと有酸素能力を高めておく事、そして一度無酸素ランニングをはじめたら、高めた有酸素能力に見合った無酸素能力を身につける限界まで集中することが勧められています。

ただし高めた有酸素能力に見合った無酸素能力を身につけた後は、それ以上無酸素ランニングを続ける必要はなく、むしろ危険ですらあるとされています。

 

無酸素ランニングは身体の反応に従って

によると無酸素ランニングのポイントはどのくらいの距離をどのくらいの速さで走り、それを何本繰り返すかの3つの組み合わせで、身体を疲労させていく事にあるとされています。

その走る距離や速さは厳密に決める必要はなく、ランナーそれぞれが身体を追い込むレベルで走って、疲労具合よりもう十分と感じた時にやめればいいとされています。

ここで重要なのが無酸素ランニングではその日のランナーの体調や気候などのコンディションによって現れる身体の反応に従ってペースや距離などを調整しながら実施するという事。

ただし少なくとも200m以上は続けて走り続けないと、無酸素ランニングでの効果はあらわれてこないとされています。

また無酸素ランニングはトラックではなく森の小道など自然の中を走る方が、気持ちよく走れるうえ、より自分を追い込みやすく、限界まで無酸素能力を開発しやすいとされています。

 

賛否両論を生む理論ですが

冒頭でも書かせていただいたようにリディアードのランニング・バイブルは20年以上も前に書かれた書籍という事もあって、その理論のいくつかには懐疑的な意見が出ているのも事実です。

ただしその理論の多くが今も多くの指導者のベースになっているのも事実で、中でも有酸素能力を高めてから無酸素能力の開発に入るというトレーニング全般の流れは、多くの実業団や学生トップチームが導入しているところと言えそうです。

そんな ですが、参考になるのはトレーニング全般の流れだけでなく、トレーニングメニューの細かな部分まで見ていっても、まだ多く日々のトレーニングに参考となる教えがちりばめられています。

そんなトレーニングメニューひとつひとつの詳細については、また後日記事にさせていただきたいと思います!!

 

今回の記事で紹介させていただいた書籍

リディアードのランニング・バイブル
アーサー リディアード
大修館書店
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